WORKS

まちとのつながり
呉の街を象徴する石やレンガが点在する古い坂道をのぼった先に、高い玄関口と大きな窓、無機質なガルバリウムの外観をもつ新築住宅が、まちなみの中に静かに際立っている。周囲の風景と質感を異にしながらも、確かな存在感をもち、この場所に新しい時間の流れを刻んでいるようだった。外構は、この建物が持つ力強い印象と、街との関係性をやわらかく調整することを出発点として計画した。私たちは、プライベート空間を“守るための境界”としてだけではなく、“風景とつながる余白”として捉え直し、暮らしの内と外をなめらかにつなぐ役割を意識した。
敷地は生活道路に面しており、人の往来も多い。フェンスは境界線から少しセットバックし、その手前に植栽スペースを設けた。視線を完全に遮るのではなく、植栽を介して緩やかに分節することで、まちとの関係を断ち切ることなく、適度な距離感を保っている。アプローチと駐車スペースは、建物の持つ直線的な構成に呼応し、コンクリートを主体に整えている。玄関前に立ち上げた石張りの壁は、門柱と目隠しの両方の役割を持ち、外部と内部の領域を自然に切り替える節目となった。ファサードには、割栗石とドライな質感をもつオージープランツを基調とした植栽を配置。ブラックティーツリーを主木とし、沿道にはコルジリネやアカシアを組み合わせ、周囲の気候と建物の素材感の双方に呼応する構成とした。蛇籠で組まれた照明台やベンチは、素材の粗さを活かしながら、空間に軽やかなリズムと奥行きをもたらしている。庭は芝生を主としつつ、外周にコンクリートの通路を設け、動線と管理性の両立を図っている。子どもたちが自由に走り回り、家族や友人が集う場としても機能し、暮らしの中に外と関わる時間が自然と組み込まれるよう設計している。一角にはガーデンシンクを設置した。野菜を洗う、小さな調理を楽しむ、あるいはバーベキューの準備をする。庭で過ごす日常が、より実用的かつ豊かなものとなるような装置として機能している。無機質で端正な建築に、暮らしの動きと緑の気配を重ねるように構成された外構と庭。
空間の輪郭を調整することで、住まいがまちに対して持つ関係性そのものを、少しだけやわらかく変えていくことを意図した計画である。
工事種別 新築の外構・庭
主要用途 専用住宅
所在地 広島県呉市
施工面積 約130㎡
施工期間 約40日
PHOTO
足袋井竜也















敷地は生活道路に面しており、人の往来も多い。フェンスは境界線から少しセットバックし、その手前に植栽スペースを設けた。視線を完全に遮るのではなく、植栽を介して緩やかに分節することで、まちとの関係を断ち切ることなく、適度な距離感を保っている。アプローチと駐車スペースは、建物の持つ直線的な構成に呼応し、コンクリートを主体に整えている。玄関前に立ち上げた石張りの壁は、門柱と目隠しの両方の役割を持ち、外部と内部の領域を自然に切り替える節目となった。ファサードには、割栗石とドライな質感をもつオージープランツを基調とした植栽を配置。ブラックティーツリーを主木とし、沿道にはコルジリネやアカシアを組み合わせ、周囲の気候と建物の素材感の双方に呼応する構成とした。蛇籠で組まれた照明台やベンチは、素材の粗さを活かしながら、空間に軽やかなリズムと奥行きをもたらしている。庭は芝生を主としつつ、外周にコンクリートの通路を設け、動線と管理性の両立を図っている。子どもたちが自由に走り回り、家族や友人が集う場としても機能し、暮らしの中に外と関わる時間が自然と組み込まれるよう設計している。一角にはガーデンシンクを設置した。野菜を洗う、小さな調理を楽しむ、あるいはバーベキューの準備をする。庭で過ごす日常が、より実用的かつ豊かなものとなるような装置として機能している。無機質で端正な建築に、暮らしの動きと緑の気配を重ねるように構成された外構と庭。
空間の輪郭を調整することで、住まいがまちに対して持つ関係性そのものを、少しだけやわらかく変えていくことを意図した計画である。
工事種別 新築の外構・庭
主要用途 専用住宅
所在地 広島県呉市
施工面積 約130㎡
施工期間 約40日
PHOTO
足袋井竜也