当初、前面道路から玄関までのアプローチは駐車スペースと兼用となっており駐車した車の横を抜けるように通る導線となっており十分なスペースが確保できていなかった。また、庭スペースは広いデッキと施主様ご自身で施工をされた芝の庭が広がっていた。芝は生育にムラがありうまく育たないという悩みがあったことや、庭の外周を透視性の高いフェンスと生垣に囲まれプライバシーが確保されず周辺からの視線が気になり庭を積極的に使えていなかったため、今回はその両方を解消するための提案を行った。

アプローチは入り口に落ち着いた深みのある色味のクラシカルなレンガタイルとすることで建物との調和を図った。また、道路からの導線だけでなく日常で使用することの多い駐車スペースから玄関への導線にも配慮。既存の駐車スペースとの高低差を考え、アプローチのステップや勾配を検討し、さまざまな動線を踏まえたアプローチとなった。
庭は施主様が家族や友人を招いて大人数でも自由な空間としてこれからも楽しめるよう、庭の使い方を定めない広い芝の庭はそのまま継承し、水捌けや土壌改良を行うことで芝の生育にも配慮。そのほか、ガーデンアイテムをたっぷりと収納できる物置やオリジナルのシンクを庭の中に取り入れ、シンプルでより使い勝手の良い空間を目指した。

プライバシー性や快適性が高まったことで、庭はこれまで以上に身近なものになり、日々の暮らしに庭の空間が取り入れられました。緑に囲まれた庭を眺めて癒されたり、これからの家族の成長とともに庭の使い方が変化しても自由で使いやすく美しい庭になったこと。また、主役である建築との調和により、これまで以上に建築を引き立てることのできるエクステリアになったことで、年月が経っても庭やエクステリアが住まいの価値を高める大切な要素となった。